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第3回 OJT 経験学習について

配属後の新入社員は「元気に挨拶」できていますか?
 

最近、OJT(On the Job Training)という言葉は人気がないようです。
新卒学生の採用現場では、社内教育の説明を学生さんたちにする際に、「OJTという言葉は使わない方がいい」などと言われることがあります。「O:お前 J:自分でやれ T:頼るな」など皮肉る記事が新聞コラムにもありました。新人の教育係に指名された社員の負荷の増加からくる、悲痛な叫びなのかもしれません。
 

そこでOJT、経験学習をテーマに研究されている北海道大学の松尾睦教授*に話を聞いてみました。
「悪いイメージが広まっていますね。しかし、それは「職人型OJT」と名付けられていますが、見て学ばせ・手ほどきはせず・見よう見まねでやらせて・叱りながら育てる方法です。つまり最初の1年くらいは放置、2~5年目には急にスパルタ型になるのです。これでは、極少数の有能人材を育てるのには良いかもしれませんが、潰れてしまう社員が多く出てきますよ」
 

それでは、良いOJT、経験から学ぶ方法を考えていきましょう。
70・20・10の法則というものがあります。社員が成長していく中で何が効果的かをあらわしています。70:直接経験、20:他者の観察・アドバイス、10:読書・研修の割合です。やはり、直接の体験から学ぶということが大切であり、成長の要であるわけです。まさに on-the-job なのです。
 

では、実際に職場で行われていてうまく機能しないのはなぜでしょうか?
伝統的なOJT手法は、第一次世界大戦のときに、造船現場の人材育成を効率的に実施するために考えられたものです。それが、日本の職人教育でいうところの「背中を見て覚えろ」と親和性があり、現在でもつかわれているのです。
①やって見せる(show) ②説明する(Tell) ③やらせる(do) ④チェックする(check)
②と④が十分になされていないのが最大の原因です。まずは、この点を、すべてをメンターに任せるのではなく自部門内で整理することが必要です。
 

そのうえで、従来のOJTではなく、実効性のある「経験学習」の知見を取り入れていきましょう。
(1) 具体的体験(何かを経験する)
(2)内省(振り返る)
(3)持論化(教訓を引き出す)
(4)新しい状況への応用(次に生かす)

これが経験学習のモデルです。上の伝統的OJTモデルと比較してみましょう。①~③が(1)に対応していて、④チェックではなく新人の内省になっています。そして教訓化して応用していく。ここまでフォローするわけです。
 

さらに「経験から学ぶ力のモデル」も紹介します。
◎ストレッチ(挑戦する力)、◎リフレクション(振り返る力)、◎エンジョイメント(楽しむ力)で構成され、それを支える原動力の「思い」と励ましてくれる人、きっかけを与えてくれる人との「つながり」があります。‘楽しむ’などの言葉だとイメージがむずかしければ、達成感、やりがい、お客様から感謝されたことなどに置き換えられるでしょう。

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詳細は、『職場が生きる 人が育つ「経験学習」入門』松尾睦 ダイヤモンド社(2011.11)を参照して下さい。
この本をベースに人事担当者、配属先の教育担当者が集まって、議論すると深まってくるでしょう。もし、貴社のTOPが人材第一(人の育成が第一優先)とおっしゃっているのなら、少額の費用を出していただきましょう。一度、合宿形式で経験を披露しあい、本音で語って、貴社なりの人材育成モデルを作ってください。長期的に、それが他社に対しての競争優位になっていきます。
 

*松尾睦
小樽商科大学卒業。英国ランカスター大学経営大学院・博士課程修了。
小樽商科大学、神戸大学をへて、2012年北海道大学大学院経済学研究科教授
マーケティングと組織論の境界領域を、「学習」という切り口で研究している。

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次回「第4回 強みについて(1)」は6月20日掲載の予定です。

大庭純一

Jerry O. (大庭 純一)
1956年 北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
職種は、一貫して人事、総務、経理などの管理部門に携わる。社内全体を見通す視点、実働部隊を支える視点で、組織が成果をあげるための貢献を考えて行動をした。
・ISO9000s(品質)ISO14000s(環境)ISO27000s(情報セキュリティー)に関しては、構築、導入、運用、内部監査を担当。
・採用は新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現。
・グローバル化・ダイバーシティに関しては、海外エンジニアの現地からの直接採用、日本語教育をおこなう。日本人社員に対しては、英語教育を行う。
・社内教育では、語学教育のみならず社内コミュニケーションの活性化、ドラッカーを中心としたセルフマネジメント、組織マネジメント、事業マネジメントを指導。

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