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【人事よ、臆せずススメ!】第12回 社内(部内)勉強会のススメ(3)

「手作りの部門内勉強会(3)学びあい、教えあう」
 

「知識労働の生産性向上には、仕事と組織に継続学習を組み込むことが必要である。知識はそのたえざる変化のゆえに、知識労働に継続学習を要求する。継続的な自己改善努力としての継続学習を要求する。しかも生産性向上のための最善の方法は、人に教えさせることである。知識社会において生産性の向上を図るには、組織そのものが学ぶ組織、かつ教えあう組織とならなければならない」(*1)
 

「人に教えることほど自らの勉強になることはないのと同様、人の自己開発を助けることほど自らの自己啓発に役立つことはない。事実、人の成長に手を貸すことなく自らが成長することはあり得ない」(*2)
 

ドラッカーの著作から、2点引用しました。私たち知識労働者は、仕事をする上で高い専門性が要求されます。それを活かすためには「情報をもたらしてくれる人(前工程)」と、「自分の仕事の成果を活用してくれる人(後工程)」が必要であり、強調してもしすぎることはありません。これを一言で言うと「貢献のリレー」です。孤高の天才、スーパーマン(パーソン)は組織の中では居続けることはできません。
 

さて、前回(第11回)のコラムでご紹介した、私自身の会社で行った事例の続きに話を進めます。
社内勉強会を開催し始めて約半年が経過し、いよいよ本格的な勉強会に移行したので、テキストを用意しました。
「実践するドラッカーシリーズ」として2010年から順次刊行されてきた、「思考編」「行動編」「チーム編」の3冊 (上田惇生[監修] 佐藤等[編著] ダイヤモンド社)です。これをメンバー各自に一冊ずつ支給しました。(東京で有料のセミナー参加することを考えれば安いものです)
 

コラム写真01

勉強会の進め方

・本の一つの章を読んできて「感想」「疑問点」「実践しようと思うこと」「実践していること」「うまくいったこと、いかなかったこと」を各自が発表してディスカッションするというものです。疑問点の解決と実践、そして各自の経験の披露に時間をかけて進めました。一回に一つの章をと考えていましたが、3回、4回もかけた章もありました。
 

・先生役は置きませんでした。その回ごとに司会進行役(ファシリテーター)を輪番でやりました。司会進行役は、担当する章をしっかり読み込んで、メンバーの発言に対してコメントをしたり、他のメンバーの意見や感想を引き出したりする役目です。
 

・時間は、1時間を厳守しました。よって、次回まで持ち越しになることも多々ありました。
 

・原則、全員参加です。ただし出張や休暇の時には欠席としてできる限り開催日と時刻(時間)は守りました。これは個々の担当業務のスケジュールへのしわ寄せを防ぐためです。
 

決して難しいことを勉強したわけではありませんでした。
ドラッカーの思考の原型をこのように表現することがあります。「当たり前に使われている言葉を疑い、その本質を問い直す」です。まさに、日々当たり前に、以前からやっている方法で取り組んでいた仕事を見直して、他のメンバーの意見をもらい、その本質から考え直す機会が生まれました。

コラム写真01

現在、私が行っているドラッカーの著書を用いた読書会(実践するマネジメント読書会®)(*3)で使う言葉に「共通言語」というものがあります。ドラッカーに限らず、人格・人間関係をベースとした勉強会でしたら、S.R.コヴィー『7つの習慣』もいいでしょう。職場のチーム全員が、共通のテキストでディスカッションを重ねることによって、仕事上で使われる言葉が整ってくるのです。一つの言葉でも、それぞれがそれぞれの思いでバラバラに使っていたものが、共通のベースで使われるようになります。コミュニケーション上の齟齬(そご、くいちがいのこと)がなくなる、と言い換えてもいいかもしれません。
 

目標は大きくても構いません。その目標を達成するための小さな目標にブレイクダウンして、ひとつずつクリアしていくことをお勧めします。小さくても変化が出てくるとおのずと推進力が生まれます。まずは小さく始めてみてください。
 

(*1)P.F.ドラッカー『ポスト資本主義社会』pp117-118
原文では、知識労働(者)とサービス労働(者)を分けて説明している。当時の会社組織において、部門管理者、会計専門職、社会保険・税務専門職が知識労働者、経理記帳係、ペイロール(給与計算係)、文書ファイリング係などをサービス労働者と区別していた。現在では、組織がフラット化しており、あえてこの2つを分けて考える必要がないため、知識労働(者)で統一した。
(*2) P.F.ドラッカー『マネジメント-課題・責任・実践(中)』pp67
(*3)実践するマネジメント読書会®http://dokusho-kai.com
 

次回「第13回 PDCA再考(ブームふたたび?)」は8月2日掲載の予定です。

大庭純一

Jerry O. (大庭 純一)
1956年 北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
職種は、一貫して人事、総務、経理などの管理部門に携わる。社内全体を見通す視点、実働部隊を支える視点で、組織が成果をあげるための貢献を考えて行動をした。
・ISO9000s(品質)ISO14000s(環境)ISO27000s(情報セキュリティー)に関しては、構築、導入、運用、内部監査を担当。
・採用は新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現。
・グローバル化・ダイバーシティに関しては、海外エンジニアの現地からの直接採用、日本語教育をおこなう。日本人社員に対しては、英語教育を行う。
・社内教育では、語学教育のみならず社内コミュニケーションの活性化、ドラッカーを中心としたセルフマネジメント、組織マネジメント、事業マネジメントを指導。

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