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31.「働き方改革への取り組み」(4)分析・検討フェーズ

今回は、「A」(Analysis:分析・検討)のフェーズです。
前回に解説した、業務の棚卸で作成した業務項目一覧表に基づき分析・検討をしていきます。仮説をたてて、今までのやり方を疑ってみることも有効です。
 

1.やめることはできないかを分析する(廃棄できる可能性を探る)

《前回のコラムでの3ムの「ムダ」の部分です》
業務一覧表の項目の中に、目的がはっきりしていないもの、後工程(=報告先)があいまいなものが出てきたと思います。これらの業務は、やめてしまうことができる可能性が大です。

ドラッカーは、論文 “The New Productivity Challenge” 1991 HBR で以下のように言っています。

生産性向上を図るにあたっては、まず問うべきは「何を」行うべきか、何を実現しようとしているか、なぜそれを行わなければならないかである。手っ取り早く、効率的に生産性を向上させる方法は、何を行うべきかを明らかにすることである。そして行う必要のない仕事を止めるべきである。

また、『イノベーションと企業家精神』では、「すでに活力を失ったもの、陳腐化したもの、生産的でなくなったものの廃棄を制度化する」「もし(その業務を)手掛けていなかったとして、今日これからこの業務を手掛ける価値があるかを考えなければならない」という趣旨のことも言っています。

マネージャー会議の席で会社としてその業務の必要性を確認するか、あるいは思い切ってやめてみて不具合が出ないか確かめてみることで判断して下さい。何かを廃棄しない限り、それも大きく時間を生み出さない限り、改革に投じる十分なエネルギーを確保できません。目的ははっきりしないがとりあえず続けてみよう、という判断は改革を頓挫させます。
 

2.なぜ業務が集中するかを分析する

《3ムでいうと、「ムラ」があるため「ムリ」が生ずる業務です》
たとえば
管理部門(経理)における決算業務
特別条項付きの36協定を締結するケースにも決算業務があげられているくらいですから、どこの企業でも残業・休日出勤が当たり前の状況なのでしょうか?確かに業務量の集中はあります。しかし、突発的な対応を要する業務はほとんどなく、毎年の繰り返しの定例業務が大半です。
12か月(6か月)終了後から集計作業に入るのではなく、月次決算ごとに必要な情報をとっておく。11か月(5か月)終了時点で予備的に集計、問題点のチェックをしておくことで、決算時のチェックの負担を軽減できます。

同じく管理部門(給与)では年末調整業務
全社員からの所得控除申告書などの提出をうけて、所得税額の確定をするのですが、提出書類の確認や問い合わせに対する回答、不備があれば再提出させるなど、繁忙になります。
でも、ここでも問い合わせの内容を分析すれば80%くらいは給与担当でなくても答えられるとすれば、メンバーが答えられるようにする。提出納期にいつも遅れる人には理由を聞いて原因を追究し、あらかじめ督促をしておく。前もって手を打っておくことで自部門での作業時間を十分確保することができ、ミスなども減り、やり直しの時間も無くなります。
 
コラム写真01

3.作成する資料を後工程(=報告先)はどう使っているか?

《3ムでいうと、過剰なサービスで「ムダ」を生んでいないか?》
報告書、会議資料、議事録など数多くの書類を作成しているかと思います。当然、必要があって作られてきたものでしょう。しかし、時がたって、状況も変わって、いま本当に必要なことが抜けていないか、苦労して作っていても利用されていないことがあるのではないか?という視点で分析しましょう。
方法は後工程、すなわち情報の受け手に直接聞くしかありません。何が必要で、何が必要ないか。もしかすると新たな要求で業務量が増えてしまうかもしれません。しかしそれは会社全体にとって必要な情報であれば発信しなければなりません。そのうえで不要なもの、利用価値のないものも真剣に検討してもらいましょう。
 

4.資料作成にあたり前工程からの情報をどう使っているか?

《3ムでいうと、前工程に「ムダ」な作業をさせていないか?情報の出し手と受け手の意思疎通で「ムダ」を省けないか?》
チーム外からの情報を内部で加工して報告書を作っているケースがあります。この場合も、前工程の人がどのようにその情報を作っているのか、自分たちが利用していない情報はないか?お互いに作業の重複はないか?の視点ですり合わせをすることが必要です。
 

5.会議を分析する

特にマネージャーは、会議に時間をとられて、自らの業務やメンバーの指導・育成に割り当てる時間が常に不足している状態です。会議に出席している時間のうち自身が発言している時間はどのくらいでしょうか?全く発言せず(発言の必要もなく)聞いているだけの会議はないでしょうか?
報告書(議事録)を後で読めば済むものはメンバーから抜けることも必要です。
会議前に資料を配布することを決めて、各自が目を通してから出席するルールを決めておくと、会議の席で資料を読み上げての長々とした説明を聞かなくて済みます。
いきなり質疑と全体の意思決定に進めます。
会議は改善しどころ満載です。ただし、自部門(自身)だけでは進められません。
経営者、マネージャーで会議の目的とそれに合ったメンバー構成、進行方法を決めるミーティングをすることをお奨めします。

まだ多くの分析・検討が必要な業務があると思います。他部門の協力なしてはできない業務も多いはずです。
「単にあなたのセクションの生産性アップを考えているのではなく、全社的な取り組みへの第一ステップとして方法を模索している」ことを経営者、マネージャーたちに知らせて、了承を得ておきましょう。
そうしておかなければ、足を引っ張らないまでも非協力的であったり無関心であったりする人が出てきて改革にブレーキがかかってきます。
「管理部門の業務が効率化することによって社員全体へのサービスが向上する、さらに今まで人的パワー不足でできなかった新しい取り組みに挑戦できるようにしていきたい」ということを宣言して改革に取り組んでください。
 

Topics : 成果をあげる人 集中と廃棄

このコラムの読者の皆さんは、チームリーダーとして自らの部門の生産性改革を先導し実効性のあるものにするとともに、全社の改革についても中心的な役割を担う方と想定しています。
ドラッカーの著書『経営者の条件』より集中と廃棄に関する原理・原則を引用します。(第5章「最も重要なことに集中せよ」p138,141-142,144,147)

成果をあげるための秘訣を一つだけ挙げるならば、それは集中である。成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしない。(中略)
成果をあげる人は、多くのことをなさなければならないこと、しかも成果をあげなければならないことを知っている。したがって、自らの時間とエネルギー、そして組織全体の時間とエネルギーを一つのことに集中する。最も重要なことを最初に行うべく集中する。

集中のための第一の原則は、生産的でなくなった過去のものを捨てることである。そのためには自らの仕事と部下の仕事を定期的に見直し、「まだ行っていなかったとして、いまこれに手をつけるか」を問うことである。その答えが無条件のイエスでないかぎり、やめるか大幅に縮小すべきである。もはや生産的でなくなった過去のもののために資源を投じてはならない。第一級の資源、特に人の強みという希少な資源を昨日の活動から引き揚げ、明日の機会に充てなければならない。(中略)

つまるところ、成果をあげる者は新しい活動を始める前に必ず古い活動を捨てる。肥満防止のためである。組織は油断するとすぐ体型を崩し、しまりをなくし、扱いがたいものとなる。人からなる組織も、生物の組織と同じようにスマート活筋肉質である続けなくてはならない。(中略)
古いものの計画的な廃棄こそ、新しいものを強力に進める唯一の方法である。


この引用部分のあとには、「劣後順位の決定が重要」という話が続きます。
次回に説明します。

次回「第32回 働き方改革への取り組み(5)」は2月16日掲載の予定です。
大庭純一

Jerry O. (大庭 純一)
1956年 北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
職種は、一貫して人事、総務、経理などの管理部門に携わる。社内全体を見通す視点、実働部隊を支える視点で、組織が成果をあげるための貢献を考えて行動をした。
・ISO9000s(品質)ISO14000s(環境)ISO27000s(情報セキュリティー)に関しては、構築、導入、運用、内部監査を担当。
・採用は新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現。
・グローバル化・ダイバーシティに関しては、海外エンジニアの現地からの直接採用、日本語教育をおこなう。日本人社員に対しては、英語教育を行う。
・社内教育では、語学教育のみならず社内コミュニケーションの活性化、ドラッカーを中心としたセルフマネジメント、組織マネジメント、事業マネジメントを指導。

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