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56.あなたのチームをスポーツチームに例えたら(1)

このブログが掲載されるころには、国内で初のラグビーワールドカップで熱戦が繰り広げられていると思います。静岡県でも、袋井市にあるエコパで、日本vsアイルランド戦をふくめ合計4試合が組まれていました。
ラグビーでよく使われる“One for all, All for one”というフレーズがあります。ご存知でしょうか。
一般的には、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」のように訳されて使われているようです。しかし、「一人は皆のために、みんなは一つの目的のために」(一つの目標=トライ)と解釈する方が正しい、よりラグビーの本質を言い表していると言われます。

ラグビーにおいて、攻撃側のチームは、サインプレーによってトライまでの具体的なイメージを全体共有してボールを動かします。計画どおりに行けばトライを奪えるはずです。

しかし実際の試合では、(1)自分たちのミス・動きやタイミングのズレ、(2)相手方の予想していた以上のディフェンス力、によって簡単にはトライまでたどり着けません。
このフレーズは、ビジネスをしていく上でも、チームを考える上で参考になります。
 

実際の日々の仕事におけるチームはどのようなチームでしょうか?

ビジネス書などには、いろいろな才能・スキルを持ったメンバーを集めてきてプロジェクトチームをつくり、目標を達成していくような「ドリーム・チーム」がよく紹介されます。
『ビジョナリー・カンパニー(2)飛躍の法則』(ジム・コリンズ:2001)においても、「だれをバスに乗せるかを決めてから、目標を選ぶ」ことが強力なチーム(経営陣)を作り出すとしています。

しかしながら、実際に日々の業務を行っているチームにおいては、メンバーはほぼ固定されているでしょう。新入社員が入ってくる、他部署からの転入、あるいは転出・退職などが数年に一度あるかないか、というのが現実に近いでしょう。メンバーは固定化されています。

一方で、仕事上の環境はますますめまぐるしく変化していきます。対応していくためにどのようなチーム作りをしていけばいいのか?について考えたいと思います。
今回は、ドラッカーが紹介した「チーム」について紹介します。
次回は、今年の4月に刊行された『THE TEAM5つの法則』浅野耕司著を取り上げます。

ドラッカーは、『マネジメント、課題・責任・実践(中)』において、おもに大組織における職能別組織とチーム組織について論じています。ここではチームを以下のように定義しています。

チームとは、異なるスキル、知識、背景をもつ人、しかも異なる分野に属しながら、ともに働く人の集まりである。それも通常かなり少人数である。
チーム型組織にはリーダーがいる。多くの場合、リーダーは交替しない。しかし実際にチームを指揮するものは、仕事の段階や要求によって変わってもよい。チームには上司も部下もいない。シニアとジュニアがいるだけだ。

『マネジメント』*1

この部分に関しては、組織の大小にかかわらずチームの定義として当てはまります。
私たちが働いている組織は、GM,GE,P&G,フォードなどの大規模な企業組織ではありません。大企業に分類される企業であったとしても、その支店・支部や工場・営業所・研究所といったものでしょう。たとえて言うなら、半径5メートル以内の組織だと思います。

ドラッカーが『マネジメント』を書いたのが1973年です。その20年後にウォールストリートジャーナルに寄稿した記事があります。こちらのほうを紹介します。
「チームの三つの類型」*2というものです。



チームには三つの類型があるといいます。(1)野球型チーム、(2)サッカー型チーム、(3)テニスのダブルス型チームです。
構造・強み/弱み・限界・条件・メンバーに求められる行動・何をなしうるか・何に対して使われるか、という点から分類されるとしています。
まず、それぞれのスポーツの構造(=選手の役割)ついてみていきましょう。

(1)野球
野球チームでは、選手はチームに属してプレーするが、チームとしてプレーするわけではありません。彼らは、固定したポジションをもつ。二塁手が投手に変わってマウンドに立つことはないのです。

(2)サッカー
サッカーのチームでも、選手は野球選手のように自分のポジションをもちます。しかしながら、選手間の連携は野球より複雑になってきます。

(3)テニスのダブルス
選手は固定したポジションではなく、基本となるポジションをもつにすぎません。パートナーの強みや弱みに応じて、あるいはゲームの状況に応じてお互いにカバーし合います。

では、それぞれのチームを見ていきます。

(1)野球型チーム
強みは、メンバー一人ひとりを評価し、メンバーに対して明確な目標を持たせることができる点。
個々のメンバーの成果を明らかにすることができる点。
訓練によって自らの強みを限度いっぱい伸ばすことができる点(他のメンバーに調子を合わせる必要がない)があげられます。
欠点は、柔軟性がないことです。すべてのプレーヤーが完全に全体の動作を飲み込んで初めて機能します。

(2)サッカー型チーム
強みは柔軟性です。一方、非常に厳格な条件が必要です。選手が次のプレーのために集合したときに、コーチが指示する戦術(ドラッカーによれば「楽譜」のようなもの)が必要です。

(3)テニス・ダブルス型チーム
小人数(5~7人)でなければならない。メンバー全員が一丸となって機能できるようになるには、かなり時間をかけて訓練を積み、ともに働く必要があります。
個々は柔軟であってもチーム全体の目標は明確でなければなりません。

この寄稿文の最後はこう締めくくられています。
チームとは道具である。チームワークは「善」でもなく「期待すべきもの」でもない。
単なる事実である。ともに働くとき、プレーするとき、人は常にチームで行う。


欧米の企業においては、一人ひとりに対して職務要件明細書(job description)により、仕事の範囲が明確に示されています。メンバーの仕事に対して、アドバイスしたり少々手伝ったりすることは許されたとしても、個人の判断で代行することはルールの逸脱とされてしまいます。

日本においては、チーム内でのフレキシブルなジョブローテーションが積極的に行われます。メンバーの育成目的での権限移譲(エンパワーメント)なども取り入れられています。

高度な専門性を必要とする研究職などでは、(1)野球型チームに成るでしょうが、管理部門や補助部門では、(3)テニス・ダブルス型チームが理想です。

チームリーダーがまず成すべきことは、チーム全体の目標を定めて全員に周知することです。目標の内容が個々の理解の仕方によってばらつきが生じていないか常にチェックし、共通の理解になるまで話し合いを続けることです。


*1『マネジメント‐課題・責任・実践(中)』p262、『エッセンシャル版マネジメント‐基本と原則』p207にも収録されています。
*2『未来への決断』ダイヤモンド社(1995)に収録されています。

 

Topics:ドラッカー:私の人生を変えた7つの体験(7)

第7番目は、「何によって憶えられたいか―シュンペーターの教訓」です。
1949年、ドラッカーはニューヨーク大学教授に就任します。大学院にマネジメント研究科を創設しています。ドラッカー同様、オーストリアからアメリカに移り住み、大学教授をして、引退していた父親が訪ねてきます。父親の古くからの友人の経済学者シュンペーターを見舞うためでした。シュンペーターは、彼もまたオーストリアからアメリカに移り住み、ハーバード大学で教え、アメリカ経済学会の会長として活躍していました。イノベーション(新結合)を提唱したことで知られています。

二人は昔話を楽しんだ。いずれもウィーン生まれで、ウィーンで仕事をしていた。二人ともアメリカに移住してきた。シュンペーターは1932年に、父はその4年後に移住した。
突然、父はにこにこしながら、「ジョセフ、自分が何によって知られたいか、今でも考えることはあるかね」と聞いた。シュンペーターは大きな声で笑った。私も笑った。
というのは、シュンペーターは、あの2冊の経済学の傑作を書いた30歳ごろ、「ヨーロッパ一美人を愛人にし、ヨーロッパ一の馬術家として、そしておそらくは、世界一の経済学者として知られたい」といったことで有名だったからである。

彼は答えた。「その質問は今でも、私には大切だ。でもむかしとは考えが変わった。今は、一人でも多く優秀な学生を一流の経済学者に育てた教師として知られたいと思っている」。おそらく彼は、そのとき父の顔に浮かんだ怪訝な表情を見たに違いない。
というのは、「アドルフ(ドラカーの父の名)、私も本や理論で名を遺すだけでは満足できない歳になった。人を変えることが出来なかったら、何にも変えたことにならないから」と続けたからである。
彼は、その5日後に亡くなった。


ここから、ドラッカーは3つのことを学びます。
1.人は、何によって憶えられたいかを自問しなければならない
2.その問いに対する答えは、歳をとるにつれて変わっていかなければならない。成長に伴って、変わっていかなければならない
3.本当に知られるに値することは、人をすばらしい人に変えることである


西洋には、墓石に亡くなった方の経歴や業績を刻む習慣があります。墓碑銘です。
アメリカの鉄鋼王、アンドリュー・カーネギーが自らの墓碑銘に刻ませた有名な言葉があります。「おのれより優れた者に働いてもらう方法を知る男、ここに眠る」です。
(Here lies a man who knew how to bring into his service men better than he was himself.)

ドラッカーは、このように書いています。
この言葉ほど大きな自慢はない。カーネギーの部下たちは、それぞれの分野において優秀だった。それは彼が部下の強みを見出し仕事に適応させたからだった。もちろん、最も大きな成果をあげたのはカーネギーだった。

何をもって憶えられたいか? (What do you want to be remembered for?)
現時点でのあなたの成果は何でしょう。仕事、家庭、友人、地域コミュニティーなどどの分野での成果でしょうか。そして何年後かにまた考えてみましょう。
大庭純一

Jerry O. (大庭 純一)
1956年 北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
職種は、一貫して人事、総務、経理などの管理部門に携わる。社内全体を見通す視点、実働部隊を支える視点で、組織が成果をあげるための貢献を考えて行動をした。
・ISO9000s(品質)ISO14000s(環境)ISO27000s(情報セキュリティー)に関しては、構築、導入、運用、内部監査を担当。
・採用は新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現。
・グローバル化・ダイバーシティに関しては、海外エンジニアの現地からの直接採用、日本語教育をおこなう。日本人社員に対しては、英語教育を行う。
・社内教育では、語学教育のみならず社内コミュニケーションの活性化、ドラッカーを中心としたセルフマネジメント、組織マネジメント、事業マネジメントを指導。

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