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64.会議の生産性について考える(3)

今回のコロナ禍とは、一つの現象にすぎない、と言い切ってしまうと大変な苦労をして乗り切ってきた皆さんたちは違和感、さらには不快感を覚えるかもしれません。しかし、これからも形をかえて危機的な現象は繰り返すでしょう。少し前には、リーマンショックがありました。震災や台風被害も頻発しています。BCPプランを策定していた企業も多いでしょうが、今回のような想定外の事態にたいしてどの程度機能したでしょうか?

ぜひ、今のタイミングで、変えなければならないもの、守らなければならないもの、新しく取り入れなければいけないもの、そして重要なのは廃棄できる/すべきものを検討し、実行し、備えましょう。

テーマにしている会議についても同様です。今回のコロナ禍によって、オンラインによる会議システムの利用が進みました。これらのシステムは以前から存在していたものの、なかなかビジネスユースとして普及してきませんでした。

代表的なシステムが、 ZOOM なのですが、会議に限らず「zoom飲み会」や「ウェビナー(webを使ったseminar)」といった使われ方で多くの人が体験しました。そして「ポストコロナの時代は、いまさら一か所に集まってする会議は無くなる」といった発言があちこちから聞こえます。

しかし、今後は会議をはじめ人が集まって行うミーティングの価値を見直して、オンラインでする方が良いもの、やはりオンプレミスで顔を付き合わせてやった方が良いものを、それぞれの組織で話し合うべきでしょう。

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本題の「会議を運営する上でのチェックポイント」です。
「とにかく意味のない会議が多くって…」とぼやく社員の本音は何でしょうか?
会議の目的がはっきりしない。目的がはっきりしなければアウトプット(会議の成果)がわからない。時間を無駄にしたと感じ、疲労感さえ感じているでしょう。

会議の目的
1.情報を共有する(伝達)するための会議
2.意思決定するための会議
3.アイデア出し(発想を広げる)ための会議
4.チームを動かしていくための会議


いまやっている、これからやろうとしている会議についてどれに当てはまるのか、考えましょう。このことにより会議の準備(メンバー構成、準備、進行、会場など)が変わってきます。いつも同じ会議室で、固定されたメンバーが、固定された席で、(無表情で)時間を過ごしてはいませんか?

1.情報を共有する(伝達)するための会議
全社員を一堂に集めて行う社員ミーティングから、チームミーティングまで様々な規模のものが考えられますが、単に情報発信して終わりではなく、どうしたら参加者に伝わるのかを考えることがポイントです。目的は、発信者の意図が伝わり参加者が理解し行動にまでつなげられるか、です。

2.意思決定するための会議
ディスカッションです。前々回(第62回)でも書いた通り意思決定にあたっては、意見の対立を促すことが必要です。
トップの鶴の一声でなんでも決まってしまうような組織では、ひとたびつまずくとリカバリーが効かなくなります。事前にディスカッションのテーマを参加者に通知して意見をまとめておいてもらうことです。

事前に通知するだけの簡単なことですが、それが出来ていないことが多いものです。さらに意見だけでなくそこに至った理由や具体例も準備してもらうことです。
最終的には、ある一つの意見が採用されるでしょうが、環境が変わったりして方針転換を余儀なくされる場合でも、この会議で様々な意見を検討してきたことが、新たな打ち手をすばやく有効に実行できます。

3.アイデア出し(発想を広げる)ための会議
代表例はブレインストーミングです。やり方についてはすでにご存じだと思います。実際にやってみて、的を外さず実効性のある複数のアイデアが出るケースは少ないのではないでしょうか?
場数の問題だとすると、普段のちょっとした日常イベントでブレストの練習をするのもいいでしょう。
より必要なのは、ブレストの先を考えることを学ぶことです。ブレストで発想を広げるわけですが、次の段階では、それらのアイデアを実行可能な案まで絞り込む(アイデアを収束させる)必要があります。ここまでのプロセスを意識して参加してもらうことです。

4.チームを動かしていくための会議
チームビルディングと呼ばれるものです。プロジェクトチームはスタートするときのキックオフミーティングなどです。目的は、メンバー同士がつながることです。
より機能するチームとは、同質的なメンバーが集まっているよりは、多様な価値観、能力、スキルから業務経験までを持った人が集まったもの(ダイバーシティー)だといいます。であるからこそ、お互いを(お互いの違いを)知ったうえで信頼関係を築くことが大切です。 

もう一つ、会議に関して強調したいことがあります。それは、提出された意見を発言者(の属性)から切り離すことです。
どういうことかといえば、Aさんが発言した意見「〇○○〇」は、その直後から「意見○○○〇」であり「Aさんの意見」としない、同様にBさんが発言した意見「☆☆☆☆」は、その直後から「意見☆☆☆☆」として「Bさんの意見」としないことです。

「社長がいったから」「あいつの意見だから」といった意見の本質にかかわりのないことは議論に載せないことです。欧米のビジネススタイルを良しとする訳ではありません。
しかし会議の場においては、お互いに激しく議論を戦わせていても、いったん会議室を出ると肩を組んで談笑しながら歩いているというシーンがあります。意見や考え方、価値観に違いはあっても対等な立場にたってお互いをリスペクトしているのでしょう。

新入社員や若手社員に対して、「君たちの柔軟な発想、新しい知見に期待している」と言っている一方で、彼ら/彼女らの会議での発言に対し、経験不足を指摘したり現状を大きく変えることを躊躇するあまり否定したりしていませんか?
若手の意欲を本意ではなくても挫いてはいないでしょうか?

その他には、アジェンダの作成、議事録の作成、ファシリテーション、会場設定、根回し(いい意味での)などいろいろ課題はありますが、これらはかなりの程度技術的な問題です。
会議については多くの参考書籍が出ていますのでいくつかのものを比較参照して、皆さんの組織にあった方法をとってください。

Topics:ブライアン看護師の原則

今回もドラッカーの著作の中に出てくるエピソードです。著書には数多くの事例が紹介されています。事例をもって語らせる、ドラッカー独特の書き方です。
そしてそれらの事例な中でも、よく話題に出てくるのが「ブライアン看護師の原則」です。

「新任の病院長が最初の会議を開いたとき、ある難しい問題について満足できる答えがまとまったように見えた。そのとき一人の出席者が、「この答えに、ブライアン看護師は満足するだろうか」と発言した。再び議論が始まり、やがてはるかに野心的なまったく新しい解決策が出来た。  

その病院長は、ブライアン看護師が古参看護師の一人であることを知った。特に優れた看護師でもなく、看護師長をつとめたこともなかった。だが彼女は、自分の病棟で何か新しいことが決まりそうになると、「それは患者さんにとって一番良いことでしょうか」と必ず聞くことで有名だった。
事実、ブライアン看護師の病棟の患者は回復が早かった。

何年か後には、病院全体に「ブライアン看護師の原則」なるものができあがった。みなが「目的とするものに最高の貢献をしているか」を常に考えるようになっていた。

今日では、ブライアン看護師が引退して10年以上が経つ。しかし彼女が設定した基準は、彼女よりも教育や地位が高い人たちに対し、今も高い要求を課している。」


長くなりましたが、そのままの形で引用しました。
『経営者の条件』第3章:どのような貢献ができるか
『プロフェッショナルの条件』Part2 3章:貢献を重視する
 
いまの言葉で言うのならば、「カスタマーエクスペリエンス」を意識して決定するということでしょう。組織が大きくなればなるほど、決定においては部分最適になることを避け全体とのバランスを考えなければなりません。
ここで議論を尽くして決定しても、ここでの「全体」は組織の内部のことです。
組織の成果とは、組織の外にあるのです。組織の外、つまり顧客の側から見る必要があるのです。
大庭純一

Jerry O. (大庭 純一)
1956年 北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
職種は、一貫して人事、総務、経理などの管理部門に携わる。社内全体を見通す視点、実働部隊を支える視点で、組織が成果をあげるための貢献を考えて行動をした。
・ISO9000s(品質)ISO14000s(環境)ISO27000s(情報セキュリティー)に関しては、構築、導入、運用、内部監査を担当。
・採用は新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現。
・グローバル化・ダイバーシティに関しては、海外エンジニアの現地からの直接採用、日本語教育をおこなう。日本人社員に対しては、英語教育を行う。
・社内教育では、語学教育のみならず社内コミュニケーションの活性化、ドラッカーを中心としたセルフマネジメント、組織マネジメント、事業マネジメントを指導。

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