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【人事よ、臆せずススメ!】第7回 強みについて(4)

「強みによる人事」
これまで(第4回から第6回目)は、「強みとは何か」「自分の強みを知り、生かす」「上司の強み」について書いてきました。今回は、強みについての最終回、「強みによる人事」です。
 

何度か引用したP.F.Drucker の『経営者の条件』(原題:The Effective Executive)1966 について簡単に紹介します。ドラッカーの膨大な著作のなかで、セルフマネジメントについて書かれたもののひとつです。そして一番よく読まれている著書です。
冒頭、まえがきではこのように書かれています。
「普通のマネジメントの本は、人をマネジメントする方法について書かれている。しかし本書は、成果をあげるために自らをマネジメントする方法について書いた。ほかの人をマネジメントできるなどということは証明されていない。しかし、自らをマネジメントすることは常に可能である。」
 

内容は、成果をあげるために身につけておくべき習慣的な5つの能力について書かれています。
1.時間を管理する
2.貢献に焦点を合わせる
3.強みを知り、生かす
4.成果をあげる領域に集中する
5.成果をあげる意思決定を行う
これらのなかの、3番目の「強み」について書いてきました。
 

今回の本題に入ります。「強みによる人事」です。ここでいう人事とは、組織全体にわたる人事異動だけでなく、チーム内の担当業務の変更、プロジェクトチームなどの編成など、広い意味でとらえてください。原文では、stuffing が使われています。

コラム写真01

優れた人事は人の強みを生かす。弱みからは何も生まれない。結果を生むには利用できる限りの強み、すなわち同僚の強み、上司の強み、自らの強みを動員しなければならない。強みこそが機会である。強みを生かすことは組織に特有の機能である。(中略)強みに関わる最大の問題は人事である。成果をあげるにはできることを中心に据えて異動を行い、昇進させなければならない。人事において重要なことは、弱みを最小限に抑えることではなく強みを最大限に発揮させることである。
『経営者の条件』pp.102

 

実際の組織における人事では、弱みを過剰に気にしすぎてその候補者の強みを生かす機会を奪ってしまうばかりか、弱みもこれといった強みもない平凡な者を昇進させてしまうことが起きていないでしょうか。
人に成果をあげさせるには、「自分とうまくいっているか」を考えてはならない。「いかなる貢献ができるか」を問わなければならない。「何ができないか」を考えてはならない。「何を非常によくできるか」を考えなければならない。特に人事では一つの重要な分野における卓越性を求めなければならない。
『経営者の条件』pp.105

 

強みを生かすということは成果を要求することである。何ができるかを最初に問わなければ、貢献してもらえるものよりはるかに低い水準で我慢せざるをえない。成果をあげることを初めから免除することになる。致命的ではなくとも破滅的である。当然現実的でもない。
真に厳しい上司、すなわち一流の人をつくる上司は、部下がよくできるはずのことから考え、次にその部下が本当にそれを行うことを要求する。
弱みを意識して人事を行うことは、組織本来の機能に背く。組織とは、強みを成果に結びつけつつ、弱みを中和し無害化するための道具である。
『経営者の条件』pp.106

 

ダイバーシティーという言葉が流行しています。掛け声だけで終わらせないためにも、
・組織内の多様な卓越性を持った人材を、その強みに着目して登用する覚悟
・登用したものに成果をあげさせる責任
を説いています。
 

今回は引用が多くなりましたが、しっかり噛み締めて読んでいただきたいと思います。ここでは「人のマネジメント」という観点から話してきましたが、「組織と人のマネジメント」の観点から見ると、人事の前に「仕事の設計」が今のままでよいのかを考える必要があります。この点については機会を改めて考えていきましょう。
 

>次回「第8回 自分自身をマネジメントする」は7月11日掲載の予定です。
 

大庭純一

Jerry O. (大庭 純一)
1956年 北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
職種は、一貫して人事、総務、経理などの管理部門に携わる。社内全体を見通す視点、実働部隊を支える視点で、組織が成果をあげるための貢献を考えて行動をした。
・ISO9000s(品質)ISO14000s(環境)ISO27000s(情報セキュリティー)に関しては、構築、導入、運用、内部監査を担当。
・採用は新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現。
・グローバル化・ダイバーシティに関しては、海外エンジニアの現地からの直接採用、日本語教育をおこなう。日本人社員に対しては、英語教育を行う。
・社内教育では、語学教育のみならず社内コミュニケーションの活性化、ドラッカーを中心としたセルフマネジメント、組織マネジメント、事業マネジメントを指導。

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