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【人事よ、臆せずススメ!】第13回 PDCA再考(1)

今回と次回(第14回)の2回でPDCA再考について書いていきます。
【第13回】日本国内の展開とアメリカのシックスシグマ
【第14回】PDCAの進化と課題

PDCA (1)日本国内の展開とアメリカのシックスシグマ
書店のビジネス書のコーナーを眺めていると、PDCAに関する新刊が目につきます。
PDCAと聞いて、ずいぶん昔にさんざん取り組んだ世代と、初めて聞く世代に大きく分かれる気がします。(私は35年前からQCサークル活動で体験してきた世代です)

1.日本におけるQC活動

「QCサークル活動」あるいは「TQC」「TQM」などの言葉を耳にしたことがあると思います。戦後の日本の、特に製造業の発展を支えた現場における「品質改善(管理)活動」のことです。

アメリカ人統計学者のエドワーズ・デミングらの指導をもとに、日科技連(日本科学技術連盟)を中心に統計的品質管理に取り組みました。その結果、1970年代後半の自動車産業を中心とした、日本の産業の振興が実現したわけです。
”Japan as Number One : Lessons for America”(エズラ・ヴォーゲル著)が刊行されたのが1979年でした。日本の高い経済成長は、日本人の学習意欲と通産省・大蔵省主導の経済への強力な関与であると分析したのです。海外からも多くの企業トップが、トヨタ自動車をはじめ大手製造業の現場視察に来日し、学んで帰りました。

QC : Quality Control…品質管理
TQC : Total Quality Control…全社的品質管理活動
TQM : Total Quality Management…全社的マネジメント管理活動

2.PDCA(サイクル)とは

PDCA(サイクル)とは上記、品質管理活動において、業務を円滑に進めるための手法を言います。
Plan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Act(改善)のステップを一つのサイクルとして、それを繰り返すことによって継続的に業務の改善を図っていこうとするものです。 そして、現在では、生産現場の品質管理活動にとどまらず、マネジメントサイクルとして広く用いられています。

3.シックスシグマ(6∑)とは

シックスシグマ(6∑)とは、安価で品質の良い日本の工業製品に押されがちであったアメリカにおいて、1980年代後半に米国モトローラ社によって、体系化された手法です。「事業経営の中で起こるミスやエラー、欠陥品の発生確率を100万分の3.4のレベルにすることを目標に推進する継続的な経営品質改善活動」と定義されます。
これは日本企業の品質の高さと自社の差の原因を追究する中から体系化されたものです。ですから、指導者、現場リーダーなどに、ブラックベルト、ブラウンベルト、グリーンベルトなどの呼称を使っています。(空手からの発想)
1990年代に入り、GE(General Electric:ゼネラル・エレクトリック)のジャック・ウェルチが自社に取り入れたことによって全米中に急速に普及しました。

4.DMAIC

日本のQC活動におけるPDCAに相当するものを、シックスシグマではDMAICとよびます。最初は MAIC としていたがのちに D が加わって DMAIC(ディーマイク)となりました。

D : Define (定義)取り組むべき課題を定義する
M : Measure(測定)現状を把握する
A : Analyze(分析)根本原因を特定
I : Improve(改善)改善策を検討する
C : Control(定着)成果を確認して、定着を図る

基本的にはPDCAと同じですが、ケースバイケースで使いやすい方法を採用するのがよいと思います。

5.QCとシックスシグマ

日本の成功例を取り入れて、米国流に作り直したものがシックスシグマなので、大きな違いはありません。ですが、一つだけ根本的な発想の違いは、日本においては現場主導のボトムアップ活動が出発点であったのに対して、アメリカでの活動はトップダウンであることです。最近の組織においては、組織階層のフラット化が進んでおり、ボトムアップ、トップダウンを云々するより、チーム内のコミュニケーションを活発にすることで、どちらの手法も機能させることが可能です。ケースによって、より実効性の見込まれる手法を選ぶことの方が重要です。
ちなみに、TPS(トヨタ生産方式)におけるJIT(Just In Time:「必要なものを必要な時に必要な量だけ生産する」生産方式)は、米国流に言うとLean(リーン:ムダ取り)生産方式です。

6.ISOとシックスシグマ

ISO(国際標準化機構)は、2011年9月に「シックスシグマ」を経営改善手法の国際規格の一つとして正式に採用することを発表し、ISO13053規格書として制定、公示しました。
ISO13053:プロセス改善における定量的方法 ― シックスシグマ―
ISO13053-01:第一部 DMAIC手法
ISO13053-2:第二部 ツールや技法

もともと、日本が発祥のQC(TQC,TQM)でしたが、アメリカ主導のシックスシグマが採択されました。中国、韓国、シンガポールなどでは国策として推進されている現状があります。また、ISO企画推進委員会の議長国が中国であることも影響していると考えられます。
 
コラム写真01
あなたの会社がISOを進めるのであれば、シックスシグマをベースに業務を設計しなければならないでしょうが、そうでなければ、QC(PDCA)とシックスシグマ(DMAIC)のいいとこ取りをしていけばいいでしょう。

今回は説明中心になってしまいましたが、次回からはどのように実務に活かしていくかについて書いていきます。
大庭純一

Jerry O. (大庭 純一)
1956年 北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
職種は、一貫して人事、総務、経理などの管理部門に携わる。社内全体を見通す視点、実働部隊を支える視点で、組織が成果をあげるための貢献を考えて行動をした。
・ISO9000s(品質)ISO14000s(環境)ISO27000s(情報セキュリティー)に関しては、構築、導入、運用、内部監査を担当。
・採用は新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現。
・グローバル化・ダイバーシティに関しては、海外エンジニアの現地からの直接採用、日本語教育をおこなう。日本人社員に対しては、英語教育を行う。
・社内教育では、語学教育のみならず社内コミュニケーションの活性化、ドラッカーを中心としたセルフマネジメント、組織マネジメント、事業マネジメントを指導。

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