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40.新卒がすぐに辞めない採用方法はあるのか?

前回までは、4回にわたって「採用力について考える」と題して書いてきました。
今回は番外編として、①採用選考の時点からすぐに辞めない社員を選考できるのか?②この考えに沿った選考が自社の業績に貢献しうる人材確保につながるのか?について考えたいと思います。
また、白根敦子著『新卒がすぐに辞めない採用方法』経営書院2017.12に提唱されている考え方を検証してみます。
 

1.グループディスカッション

この本の、最大にして中心の提言は「グループディスカッション」の活用です。第5章から第8章にかけて説明されています。
・実施要領とテーマ
・選考を成功させるコツ
・評価表作り
・グループディスカッションは選考の場であるが、人材教育の場でもある。
といった項目で解説されています。

実際にグループディスカッションをやってみて、一番難しいのが応募者の評価です。
欧米において実施されている採用選考のためのグループディスカッションは1名から数名の応募者に対して現役社員が加わりディスカッションするものです。1回あたり1~2時間、別の部門の社員が参加してまた1~2時間、これを2日間くらいかけて何回も行います。
ここまでして初めて応募者の適性を多くの社員(評価者)の評価を総合して判断しています。ランチやディナーも社員と一緒ですのでこれも評価の対象です。(もともと欧米には新卒一括採用というものがありません。学校を出たての若手の採用に関しては、在学中の数か月にわたるインターンシップ経験者から選抜し採用しています)

日本の採用プロセスに組み込まれる一回きりの1時間程度のグループディスカッションでは職務適性のみならず、早期退職を防ぐ目的まで盛り込むのは至難の業です。
まずメインの選考方法として、時間をかけた丁寧な面接と多くの学生が受ける適性検査を利用し、グループディスカッションを行うには、事前に評価者訓練をしておくと、より適切な評価につながるでしょう。社内で養成するための時間と費用の問題もあるとは思いますが、外部コンサルに依頼する場合は、コンサルの判断基準と人事の判断基準のギャップを埋める努力が必要です。
 

2.若手社員の就労意識調査に(早期退職防止の)ヒントを探す

第4章第1節の「仕事はお金を得るための手段である」を考えるに関しては統計調査(アンケート)に基づいた分析が取り上げられています。
お金(給料)に対しては調査結果に表れている以上に、学生はより敏感になっていると感じます。その最大の理由は、奨学金(返済義務のあるもの)や教育ローンの返済が背景にあります。
少しでも給料の良いところで働いて、早く完済したいという意識を持つ傾向が年々増加しています。またその対極として「ある程度の生活が出来れば、給与の多寡にはこだわらない。車や家など特に手に入れたいものはない。」という層の増加です。

精力的に仕事に励み、出世して、給料もたくさんもらってリッチな生活をしたいといった考え方は急速に姿を消しています。
応募者の中から、仕事に打ち込んで自分を成長させたい、周りを巻き込んで大きな仕事をしたい、ひいては世の中に貢献したいといったメンタリティの持ち主を探すことは年々難しくなってきていると言えるでしょう。

第2節「面白さや、やりがいを感じる仕事がしたい」について。
面白さややりがいは、「仕事を体験していく中で自ら見つけていくものだ」ということを分かってもらう必要があります。
これは選考中のどこかのタイミングで、トップや経営幹部が自らの体験を応募者に対して語り聞かせて共感できるかどうかを計ると良いと思います。
 

3.内定者教育に関して

第10章で紹介していますが、内定から入社までの期間に3回(3日)ほど内定者を呼んでの教育カリキュラムが紹介されています。内定承諾している学生さんに対して行う教育ですが、企業側の労力、学生の負担を考慮した上で自社に取り入れるかどうかを判断してください。
学業に専念させたり、学生時代にしかできないことに挑戦することも大切にし、何回か近況報告をさせる程度で済ませることで、その分、社内のリソースを入社後の新入社員教育とフォローアップ(ここにはこれまで以上に力を入れて!)に振り分けることが出来、早期離職を防ぐことにつながります。
 

4.能力適性テストを自前でつくる

第9章の内容です。経済産業省が2006年に提唱し、そこからさらに発展させていっている「社会人基礎力」がベースになっています。
※経産省のHP http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/
文部科学省ではなく経済産業省が作成したところにポイントがあります。経産省は、若年労働者の早期退職傾向が日本の産業の国際競争力を損なうという強い危機感を持っており、産業界からの要望にも合致しています。
一方、文科省が関わっていないことから、人材の送り出し側の大学ではあまり意識されていません。大学のキャリア教育などでも取り上げないせいか、当然、学生にも浸透しているとは言えません。

しかし、非常によくできているものです。3つの能力と12の能力要素を「社会人基礎力」と定義づけしていますので、これをベースに自社の選考基準を作っていくことは理にかなっています。選考時にもれがちな視点もカバーできます。
 

5.今後の人事政策を考える

本書では人事ご担当者様の現状の職務に即して分かりやすく表現するためか、正規・非正規の区別がはっきりなされていますが、今後はこのような「正規社員は終身雇用であり管理者、非正規社員はブルーカラー的な職務につき景気・企業業績で給与額も変動し雇用も不安」といったステレオタイプな人事(採用)政策は変化を強いられると考えられます。
ですので、人事ご担当の皆様は自社の現状と比較しながら客観的視点で読み進めることで、自社の今後の人事課題が見えてくるのではないでしょうか。

グループディスカッションを取り入れたい、内定者教育をやる、ビジネスコーチを養成し導入するといった考えがあるのなら参考になる一冊です。
コラム写真01
最後に、これまで触れてこなかった「第二新卒」について考えます。
第二新卒とは、学校卒業から1~3年のうちに転職する若者のことです。明確な定義があるわけではありませんが、おおむねこの解釈で定着し始めています。

社会に出た若者が数年で離職するケースは少なくありません。厚生労働省によれば、大学卒で就職しながら、3年以内に離職するケースは全体の約3割となっています。「3年3割」は現実なのです。(※「新規学卒者の離職状況に関する資料一覧」より)

このような大量の離職者の出現を受けて、第二新卒向けの転職サイトも増えていますし、紹介業者も積極的な事業展開をしています。
(株)就職情報センターでも転職サイト(人財紹介サービス)を運営しています。
SJCナビキャリア(転職の方向け) https://www.sjc-net.co.jp/career/
SJCエージェント(第二新卒の方向け) http://www.sjcnavi.com/agent/

マスコミなどの記事でも、「かつては『3年以内で辞める若者』に対し、ネガティブなイメージが付きまとったが、近年は『第二新卒』として企業が積極的に採用する動きが出ている」という論調が見られます。しかしながら、再就職してもすぐに退職してしまう、社会人としてのモラルが低い、先輩社員の指導・アドバイスを素直に聞けないなど現実は厳しいようです。

一方で、最初に就職した企業がブラック企業であった、パワハラ・セクハラ等で職場環境が劣悪で退職を余儀なくされたというようなケースもあります。こういった新卒学生/新入社員の責任ではないところで発生した例もあるわけです。

面接では、前社の退職理由、入社(勤労)意欲の高さ、生活面も含めて基本的な習慣やモラルに問題はないか、一緒に働ける人物かなどを聞き出し、慎重に判定する必要があります。
新卒採用がますます困難になる中、第二新卒という選択肢を持っておくことは重要です。ただし、採用に当たっては戦力になるようなスキルは持っていない前提で考えなければなりません。
新卒社員と同様の教育・育成プログラムが必要でしょう。

今後、新卒採用も9月卒業生への対応や海外大学からの帰国学生の採用などが増えてくると、4月1日付けの一括採用から通年型採用に変化してくるでしょう。人事(採用)担当者が先頭に立って、全社共通の採用目標で人材確保をすることです。

そして、採用した人材の能力、最新の知識と個性を尊重しつつ指導・教育、実務を体験することで貴社の企業風土(社風)にあった真の実力を持った人財へと育てましょう。結果が出るまでに時間がかかります。それでも採用した社員が配属先で健闘している姿を見る時、人事(採用)担当者にとっては苦労が報われます。
 

Topics : 巨人の肩の上に立つ(矮人)

自然科学の分野で使われてきた用語です。西洋のメタファーであり、現代の解釈では、先人の積み重ねた発見に基づいて何かを発見することを指します。
最近では、フリーソフトウェア運動においても使われています。 すべてゼロからスタートするのではなく、すでに他者が成し遂げた成果(物)を利用してよりスピーディーに、より良いものを作り上げることを可能にします。社内の業務であれば、意匠や著作権を気にせずに共有することが可能です。 実際に、こういった知見を社内で蓄積してデータベース化している事例を聞きます。
しかしながら、作ることが目的化してしまい十分に利用されていないのが実情です。
自分にとって初めての業務で、簡単には目標やそこまでの道筋が見えないケースであれば、声をあげて周りに聞くことを習慣化するとよいでしょう。もし聞いた方法より良いアイデアが出てきたならば、そこでオリジナリティーを出せばいいのです。すべてを自分の力でゼロからスタートしないことです。
また、社内でも効率をあげるための方法として、他人の「尻馬に乗る」ことを奨励しましょう。 自分の周りを見渡して、「これはスゴイ!」と思われる仕事があったら、そのノウハウを共有して、各自が(ゼロ地点からではなく)より高い地点からスタートができるように意識することです。

次回「第41回 ピーターの法則、働かないオジサン問題」は7月17日掲載の予定です。
大庭純一

Jerry O. (大庭 純一)
1956年 北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
職種は、一貫して人事、総務、経理などの管理部門に携わる。社内全体を見通す視点、実働部隊を支える視点で、組織が成果をあげるための貢献を考えて行動をした。
・ISO9000s(品質)ISO14000s(環境)ISO27000s(情報セキュリティー)に関しては、構築、導入、運用、内部監査を担当。
・採用は新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現。
・グローバル化・ダイバーシティに関しては、海外エンジニアの現地からの直接採用、日本語教育をおこなう。日本人社員に対しては、英語教育を行う。
・社内教育では、語学教育のみならず社内コミュニケーションの活性化、ドラッカーを中心としたセルフマネジメント、組織マネジメント、事業マネジメントを指導。

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