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41.ピーターの法則 働かないオジサン問題

今回は、少々肩の力を抜いて読んで頂ければよいと思います。思わず膝を打って「納得!」と叫びたくなるでしょう。ピーターの法則を紹介します。
この連載コラムに書いている内容のベースになっているピーター・ドラッカーとは別人です。

ピーターの法則

今回のピーターは、ローレンス・R・ピーター(1919-1990)カナダ生まれの教育学博士です。

【ピーターの法則】
階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能のレベルに到達する。
【ピーターの必然】
やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能の人間によって占められる。
仕事は、まだ無能レベルに達していない者によって行われている。
なかなか強烈なアフォリズム(警句)です。

原著”The Peter Principle”は1969年に刊行され、その翻訳は1970年に『ピーターの法則』(田中融二訳、ダイヤモンド社)として刊行されました。そして33年ぶりに『[新装版]ピーターの法則』が2018年3月に刊行されています。
 
ピーターの法則
右側が[新装版]

この本では最初に紹介したピーターの法則を裏付けるべく「例外は発見されなかった」「能力によらない昇進」「がむしゃらな昇進の追求」「なぜ人は無能に突き進むのか?」「無能が無能を生む」「無能ゆえの奇妙な行動」などと鋭い観察から論を展開していきます。
気楽に楽しんで読めますし、一方、人事担当者としては考えさせられる内容が満載です。ぜひ購入して読んで頂きたいです。
部門内でのミーティングでトピックスとして取り上げて話し合うのもお奨めです。

「働かないオジサン」問題

今回のコラムのもう一つのテーマです。
働かないオジサン、お荷物ミドル、お荷物エルダー、使えないバブル世代……などの言葉がささやかれるようになったのが2010年頃からでしょうか。
また、超大手の家電メーカーなどで「追い出し部屋」というものが存在するとの告発が続きました。結局労働局(労働基準監督署)は調査の結果、そのような部署は確認されなかったという結論を発表しましたが、組織のイス取りゲームから外れた40代以上の人たちにとっての過酷な状況が存在することは間違いありません。

2010年1月にJALが事実上経営破綻しました。京セラ、KDDIの創業者、稲森和夫氏が再建に乗り出したことは記憶に新しいことです。債権のめどが立ったころのビジネス誌に載っていたJAL本社で働いていた派遣社員のインタビュー記事を思い出します。
「私の給与や仕事は破綻前も破綻後も全く変わりありません。変わったことは、一日中何の仕事をしているかわからない、終業時間までただ座っていた多くのオジサンたちがどこかに消えたことです」
体力のある大企業でさえ、旧来の体質を改善していかなければ破綻、事業の売却などを迫られる現実があります。

深刻な問題として、定年という考え方の存続か廃止か?70歳あるいはそれ以上まで企業が社員を雇い続けることを義務付けられる時代が見えてきています。
有能レベルで働き続けられる社員はごく一部でしょう。「ピーターの法則」がこれらの問題の解決にはなりませんが、社員それぞれがなんとなく感じている現実を考えさせる契機になるかもしれません。会社も社員も幸せでいられるような、パラレルライフ、セカンドライフを考える契機になるかもしれません。

後半は、重い話になってしまいましたが、人事担当者としては会社を存続させていくための制度作りと並行して、社員の皆さんと現在の状況と将来展望について、会社の存続と社員の幸せについて話ができる風土づくりが必要です。
会社の風景

Topics : パーキンソンの法則

イギリスの社会理論家のシリル・ノース・パーキンソンは、著書『パーキンソンの法則』のなかで、階層社会に人間があふれるという現象を的確に観察し、なぜ組織が肥大化するかについて述べています。
それは、官僚の仕事ぶりへの揶揄をたっぷり含んだアフォリズムです。

「役人の数は仕事量に関係なく増え続ける」
「仕事の量は完成のために与えられた時間を満たすまで膨張する」

・仕事自体への需要が縮小しているにもかかわらず、必要以上に部下を持ちたがったり、お互いに仕事を作り合ったりして、仕事量を増やしていくのです。
・本来ならさっさと終わる仕事でも、与えられた期限ぎりぎりまで引き延ばして、余計なことをしたり、仕事を複雑にしたりしてしまい、質の低下、ひいては納期遅れまで引き起こしてしまいます。
パーキンソンは、官僚(=役人)の仕事ぶりを強烈に皮肉ったわけですが、現在の営利企業にあっても同様の状態がないでしょうか?

次回「第42回 集中、計画的廃棄、劣後順位、優先順位、勇気は8月22日掲載の予定です。
大庭純一

Jerry O. (大庭 純一)
1956年 北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
職種は、一貫して人事、総務、経理などの管理部門に携わる。社内全体を見通す視点、実働部隊を支える視点で、組織が成果をあげるための貢献を考えて行動をした。
・ISO9000s(品質)ISO14000s(環境)ISO27000s(情報セキュリティー)に関しては、構築、導入、運用、内部監査を担当。
・採用は新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現。
・グローバル化・ダイバーシティに関しては、海外エンジニアの現地からの直接採用、日本語教育をおこなう。日本人社員に対しては、英語教育を行う。
・社内教育では、語学教育のみならず社内コミュニケーションの活性化、ドラッカーを中心としたセルフマネジメント、組織マネジメント、事業マネジメントを指導。

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